幸せとは何か?デンマークは世界一幸せな国ではなかった!20年前にヨーロッパを旅して感じたこと
「幸せとは感じるものである」とお釈迦様は言う。
幸せとは何だろうか?あらためて考えたい。
北欧にあるデンマークは福祉先進国で世界一幸せな国として知られている。
医療費が無料、大学院まで学費も無料、年金・失業手当、育児休暇など充実している。おまけにデザインが洗練されていて、家具や電化製品がおしゃれてとても豊かな国だ。
そんな北欧デンマークに大学を卒業後、仕事をしてお金を稼ぎ、自費でデンマークに留学をした経験がある。
デンマークの社会制度やデザインには興味なく、熱烈に好きだった音楽がたまたまデンマーク出身のギターリストだったという縁だったので、デンマークの生活がどんなものなのか知らない状態でデンマークに飛び込んだ。
はじめてのデンマークは、空港から学校に向かう電車やバスの中でみた町と人は、すべてが日本でイメージしていた外国とは違っていて新鮮だった。

デンマークでの暮らしは、驚きの連続。外国人の学生でも医療費が無料で保険証も1か月くらいで発行、銀行口座も簡単につくれた。マイナンバーがあり番号さえ覚えていれば、保険証を持参してなくても医療が無料で受けられた。20年前だったがデビットカードが普及していて、現金がなくてもキャッシュカード一枚あれば田舎の小さな店でも買い物ができた。
街並み、学校、友人の家の内装はおしゃれで夢の国に来た感じ、世界一幸せな国と言われるだけのことはある。

しかし、どんな世界でも良いことだけではなく、もちろん悪い点もある。留学しているときに感じたマイナス面は、
・24時間営業しているコンビニがほとんどない。日曜にはしまっている店が多い。
・物価が高い。税金が高いためで、ビックマッセットも1000円くらいする。
・食べ物がおいしくない。デンマークのパンは硬いのが主流で日本のような柔らかいパンとは違って最初は食べにくかった。日本人が普段口にしている味とは違った。
・・・と、ザっとこんな感じ。
とはいえ、デンマークで生活し、スウェーデン・チェコ・ドイツ・フランス・イギリス・ヨーロッパ数か国を旅してみても、デンマークは幸せな国ナンバー1であると、その地位はゆるぎなかった。
しかし、ヨーロッパを旅をした最後の地で、デンマーク以上に幸せに見えた国があった。
それは意外と思うかもしれない
東欧のユーゴスラビアから独立したばかりのクロアチア
人々はデンマーク以上に幸せに見えた

クロアチアに行くきっかけは、サッカーの三浦知良さんがクロアチアのクラブに移籍したとニュースで知って応援したいという動機だった。クロアチアは冷戦時代にソ連や東ドイツにとってのリゾート地で景色が綺麗だと聞いていた。
クロアチアへの旅行を計画したものの隣の国コソボで戦争中でアメリカが空爆をしていて飛行機は飛んでない。フランスから夜行バスで20時間かけての旅だった。この当時のクロアチアは、ユーゴスラビアから独立してから数年。長い間、セルビアとの戦争をしていて、隣国ではいまだに戦争が続いている状況で、街を歩いていると難民の人とも多く出会った。マクドナルドでは母親が子どもだけに食事をさせている。レストランで注文したコーラやビールは冷蔵庫がないのか常温に近い。
しかし、見た目は裕福とは言えないのに、クロアチアの人々は総じて明るかった。
不思議なことにクロアチアの人々は福祉先進国のデンマークの人以上に幸せにみえる。私がデンマークとクロアチアで経験して感じたことを、クロアチアで出会った女性に話すと、こんなことを言ってくれた。
「クロアチアでは戦争が長く続いたから、平和なだけで嬉しい」のだと。
この時、衝撃が背筋にはしった。私の祖父のことを思い出した。満州事変で今の中国に出兵し足を負傷、片足をひきづりながら一人で商売を立ち上げ、貧しいながらも幸せに暮らしていた祖父。「戦争がないだけで有り難い」が口癖だった。

幸せとは経済・豊かさ・社会制度や年金の充実度ではないのだと心から感じることができた瞬間だった。
「幸せとは感じるものである」とお釈迦様の言葉がズバリあてはまる。
コロナで大変な状況が続く現在だが、今の日本、昭和20年の戦後の苦しさに比べれば、間違いなく豊かだ。戦争がないありがたさを噛みしめ、生きていきたい。
